◆校歌の一番は風景だけをうたう
「いらかのなみの すえとおく
にぎおうみなと みおろして...」
入学始めの頃は意味がわからなかったが
『甍の波』『賑う港』
だとわかったのはいつの頃だったか?
学校からは 歌詞のとおり
家々の瓦屋根の向こうに港が見おろせた
港には 何ばいもの貨物船が係留し
艀(はしけ)や海峡の連絡船が行き交っていた
◆二番はもっと難解だ
「...よきしよきとも むつみあい
ちとくをみがき たいをねる...」
『むつみ』って『結び』?
『ちとく』って『遅刻』のこと?
『たい』って何?
『ねる』って『寝る』?
何年もの間
意味もわからず 棒読みよろしく歌っていた
あるとき 先生から意味を説明されて
ようやく呑み込めた
『...良き師良き友 睦みあい
知徳を磨き 体を練る...』
◆三番もやっぱりわからなかった
「きょっこうひとたび かがやけば
ごひゃくのけんじ いきたかし...」
『きょっこう』って何?
国語で『極光』って習ったけどオーロラ?
『けんじ』って『健治』君?だれのこと???
これも先生の説明で納得した
『旭光』『五百の健児 意気高し』
五百人の児童を抱えていた時もあったと言う
僕らの頃は百数十人になっていた
◆校歌は 昔作られただけに文語調で
他の子どもにとっても難解だっただろう
二番末尾の『思えかし』も
三番最後の『うとう理想の 声を聞け』も
変な響きだなあ くらいに受け止めていた
でも
意味もわからずに 覚えることだけは覚えた
それでいいと思う
あとになって わかる日が来たのだから
|